日本語 ⁄ English
みんなの教材サイト
TOPページへ戻る

日本につながる子どもの実践 TOPページへ

活動(かつどう)型(がた)1 子(こ)どもとつむぐ物語(ものがたり):遠足(えんそく)から始(はじ)まった電車(でんしゃ)遊(あそ)び

画一(かくいつ)的(てき)な年間(ねんかん)カリキュラムにとらわれず、遊(あそ)びや生活(せいかつ)を通(とお)して
子(こ)どもたちと一緒(いっしょ)につくる保育(ほいく)を実践(じっせん)したいと考(かんが)えているみなさんへ


動画

キーワード

#幼児(ようじ)・未就学児(みしゅうがくじ)

        #読(よ)み聞(き)かせ・歌(うた)

#JHL/JFL/母語(ぼご)話者(わしゃ)混合(こんごう)クラス

#保育(ほいく)ドキュメンテーション


#子(こ)どもと一緒(いっしょ)につくる活動(かつどう)

動画

教材(きょうざい)1分(いっぷん)紹介(しょうかい)

本(ほん)実践(じっせん)は、インターナショナル幼稚園(ようちえん)で行(おこな)っている「日本語(にほんご)のじかん」に、子(こ)どもたちと一緒(いっしょ)につくった活動(かつどう)です。本園(ほんえん)では、1日(にち)のほとんどの保育(ほいく)を英語(えいご)で行(おこな)っていますが、どこの国(くに)から来(き)た子(こ)どもでも、安心(あんしん)して仲良(なかよ)く過(す)ごせるように、「日本語(にほんご)のじかん」と「スペイン語(ご)のじかん」も設(もう)けています。

子(こ)どもたちの頭(あたま)の中(なか)では「日本語(にほんご)で聞(き)いたこと」「生活(せいかつ)言語(げんご)で考(かんが)えたこと」「家(いえ)でしたこと」「友(とも)だちと遊(あそ)んだこと」といった経験(けいけん)が分(わ)けられることなく、すべての世界(せかい)がつながっています。幼稚園(ようちえん)と家庭(かてい)も、子(こ)どもたちにとっては、ひとつづきの学(まな)びの場(ば)です。そこで、私(わたし)たちは子(こ)どもたちの経験(けいけん)や興味(きょうみ)・関心(かんしん)、疑問(ぎもん)などを大切(たいせつ)に拾(ひろ)い上(あ)げ、子(こ)どもたちの生(い)きる世界(せかい)の延長線(えんちょうせん)上(じょう)に新(あたら)しい体験(たいけん)の物語(ものがたり)をつむぐように活動(かつどう)をデザインしています。

今回(こんかい)紹介(しょうかい)する実践(じっせん)は、遠足(えんそく)の経験(けいけん)から始(はじ)まりました。ある日(ひ)、遠足(えんそく)で訪(おとず)れた公園(こうえん)で、子(こ)どもたちは古(ふる)い線路(せんろ)を見(み)つけ、列(れつ)になって歩(ある)くことを楽(たの)しみました。その後(ご)、園庭(えんてい)では電車(でんしゃ)ごっこの遊(あそ)びが始(はじ)まり、自然(しぜん)と広(ひろ)がっていきました。私(わたし)たちは、子(こ)どもたちの遊(あそ)びの中(なか)から自然(しぜん)に生(う)まれた電車(でんしゃ)ごっこ遊(あそ)びを、教室(きょうしつ)の「日本語(にほんご)のじかん」の活動(かつどう)へとつなげていきました。

また、本園(ほんえん)では、子(こ)どもたちが園(えん)で見(み)せてくれた興味(きょうみ)・関心(かんしん)、感動(かんどう)や疑問(ぎもん)を 保育(ほいく)ドキュメンテーション としてまとめ、毎週(まいしゅう)保護(ほご)者(しゃ)の方(かた)と共有(きょうゆう)しています。保育(ほいく)ドキュメンテーションは、子(こ)ども一人(ひとり)ひとりが幼稚園(ようちえん)で生(い)きている世界(せかい)を家庭(かてい)と共有(きょうゆう)するためのツールです。幼児期(ようじき)の子(こ)どもたちは、「言葉(ことば)を正(ただ)しくリピートできたか」「元気(げんき)に歌(うた)が歌(うた)えたか」といった従順(じゅうじゅん)さや素直(すなお)さで評価(ひょうか)されることがありますが、「できる」「できない」にかかわらず、歌(うた)や遊(あそ)びを通(とお)して体(からだ)を動(うご)かし、仲間(なかま)と関(かか)わりあいながら学(まな)び合(あ)い、成長(せいちょう)していきます。私(わたし)たちは子(こ)どもたちができたこともやらなかったことも「それでいい」と、子(こ)どもたちのありのままの姿(すがた)として受(う)け止(と)めています。教室(きょうしつ)の中(なか)で見(み)られなかった姿(すがた)が、経験(けいけん)や感動(かんどう)とつながり、家庭(かてい)でふと大(おお)きな一歩(いっぽ)を踏(ふ)み出(だ)すこともあります。本(ほん)実践(じっせん)では、遠足(えんそく)での経験(けいけん)から生(う)まれた遊(あそ)びを出発(しゅっぱつ)点(てん)に、日本語(にほんご)を媒介(ばいかい)として体験(たいけん)を深(ふか)め、子(こ)どもたちとともに活動(かつどう)をつくっていく過程(かてい)を紹介(しょうかい)しています。実際(じっさい)の ■保育(ほいく)ドキュメンテーション例(れい)PDF と合(あ)わせてお読(よ)みください。









内容(ないよう)

この教材(きょうざい)の特徴(とくちょう)は?

• 子(こ)どもと一緒(いっしょ)につくる活動(かつどう)

+
まだ小(ちい)さい子(こ)どもたちも「これをやってみたい」「やりたくない」「もっと知(し)りたい」といった思(おも)いを、しっかりと持(も)っています。私(わたし)たちは子(こ)どもたちの興味(きょうみ)・関心(かんしん)や、ときに見(み)られる困(こま)り感(かん)を受(う)け止(と)めながら、その延長線(えんちょうせん)上(じょう)に新(あたら)しい経験(けいけん)や体験(たいけん)を重(かさ)ねていくことを大切(たいせつ)にしています。そのため、年間(ねんかん)の詳細(しょうさい)なスケジュールはあらかじめ立(た)てていません。今回(こんかい)の実践(じっせん)も、遠足(えんそく)での経験(けいけん)を出発(しゅっぱつ)点(てん)として生(う)まれた活動(かつどう)です。

(クリックして拡大)

• さまざまな言語環境(げんごかんきょう)にいる子(こ)どもたちが一緒(いっしょ)に学(まな)ぶ

+
本園(ほんえん)では、日本語(にほんご)を母語(ぼご)とする子(こ)ども、日本(にほん)につながる子(こ)ども(継承(けいしょう)語(ご)/JHL:Japanese as a Heritage Language)、日本語(にほんご)を外国語(がいこくご)として学(まな)ぶ子(こ)ども(JFL:Japanese as a Foreign Language)が、同(おな)じ場(ば)で一緒(いっしょ)に活動(かつどう)しています。子(こ)どもたちはお互(たが)いを真似(まね)することが大好(だいす)きで、日本語(にほんご)を母語(ぼご)とする子(こ)どものおもしろい発言(はつげん)をみんなで繰(く)り返(かえ)して楽(たの)しむ姿(すがた)も見(み)られます。遊(あそ)びを通(とお)して言語(げんご)に触(ふ)れる体験型(たいけんがた)の活動(かつどう)であるため、絵本(えほん)や歌(うた)の長(なが)さ、活動(かつどう)の中(なか)で使(つか)う語彙(ごい)や表現(ひょうげん)の数(かず)を調整(ちょうせい)することで、日本語(にほんご)の習熟(しゅうじゅく)度(ど)にかかわらず活用(かつよう)することができます。異(い)年齢(ねんれい)の集団(しゅうだん)や、家庭(かてい)での活動(かつどう)でも行(おこな)えます。

• 日本語(にほんご)を「媒介(ばいかい)」とした活動(かつどう)

+
絵本(えほん)や童謡(どうよう)、行事(ぎょうじ)などの文化(ぶんか)的(てき)な題材(だいざい)を通(とお)して日本語(にほんご)と出合(であ)い、保育者(ほいくしゃ)と子(こ)どもたちが共(とも)に関(かか)わる中(なか)で、遊(あそ)びが広(ひろ)がっていきます。その中(なか)で、子(こ)どもたちは夢中(むちゅう)になりながら学(まな)びを深(ふか)めていきます。これまで、サンドイッチづくりや雨季(うき)、トイレトレーニングなど、身近(みぢか)なテーマをもとに活動(かつどう)を行(おこな)ってきました。私(わたし)たちは、日本語(にほんご)を「教(おし)える」こと自体(じたい)を目的(もくてき)にするのではなく、日本語(にほんご)を媒介(ばいかい)としてさまざまな体験(たいけん)を重(かさ)ね、その中(なか)で日本語(にほんご)も、それ以外(いがい)の力(ちから)も育(そだ)っていくことを大切(たいせつ)にしています。一人(ひとり)ひとりの人間(にんげん)形成(けいせい)を見(み)つめながら、成長(せいちょう)していく姿(すがた)に寄(よ)り添(そ)う活動(かつどう)です。このような活動(かつどう)は、幼稚園(ようちえん)に限(かぎ)らず、家庭(かてい)でも、特別(とくべつ)な準備(じゅんび)がなくても始(はじ)めることができます。

どんな子(こ)ども?


年齢(ねんれい) 3歳(さい)から4歳(さい)の幼児(ようじ) (→1歳(さい)から小学生(しょうがくせい)まで可(か))
人数(にんずう) 2人(ふたり)以上(いじょう)
経験(けいけん)・知識(ちしき) 活動(かつどう)に必須(ひっす)の経験(けいけん)や知識(ちしき)は特(とく)になし
日本語(にほんご)力(りょく)の目安(めやす)
  • 特(とく)になし。日本語(にほんご)力(りょく)は問(と)わない
  • ※実際(じっさい)の実践(じっせん)は、日本語(にほんご)が第(だい)1言語(げんご)の幼児(ようじ)、第(だい)2言語(げんご)・家庭内言語(かていないげんご)の幼児(ようじ)、外国語(がいこくご)である幼児(ようじ)の混合(こんごう)クラスで実施(じっし)

目標(もくひょう)は?


目的(もくてき) 子(こ)どもたちが他者(たしゃ)とのかかわりを通(とお)して、思(おも)いやりや協力(きょうりょく)しあう力(ちから)を育(はぐく)む
(子(こ)どもたちの社会性(しゃかいせい)を育(はぐく)む)
目標(もくひょう)
  • 仲間(なかま)を思(おも)いやり、順番(じゅんばん)を守(まも)ったり、安全(あんぜん)に気(き)をつけながら、電車(でんしゃ)ごっこをみんなで楽(たの)しむ
  • 友(とも)だちと関(かか)わりながら、役割(やくわり)を分担(ぶんたん)したり協力(きょうりょく)したりして遊(あそ)ぶ
言語(げんご)面(めん)の
目標(もくひょう)
  • 電車(でんしゃ)に関係(かんけい)する日本語(にほんご)の語彙(ごい)やオノマトペに触(ふ)れる。繰(く)り返(かえ)したり使(つか)ってみたりしてもよい
  • 自分(じぶん)の使(つか)える言語(げんご)を用(もち)いて、電車(でんしゃ)に乗(の)ったり、見(み)たりした経験(けいけん)を共有(きょうゆう)したり、電車(でんしゃ)ごっこを楽(たの)しむためのアイデアを言(い)ったりする

主(おも)な活動(かつどう)と時間(じかん)のめやす

時間(じかん):30分(ぷん)×3コマ(色々(いろいろ)な時間(じかん)、長(なが)さで実施(じっし)可(か))
活動(かつどう):
  ① 絵本(えほん)の読(よ)み聞(き)かせ
   電車(でんしゃ)に関連(かんれん)する絵本(えほん)を読(よ)み聞(き)かせ、電車(でんしゃ)に乗(の)ったり見(み)たりした経験(けいけん)を思(おも)い出(だ)せるようにする。
  ② 歌(うた)う・電車(でんしゃ)ごっこ
  • 教室(きょうしつ)で「線路(せんろ)は続(つづ)くよ どこまでも」を歌(うた)いながら電車(でんしゃ)ごっこ遊(あそ)びを楽(たの)しむ。歌(うた)が一回(いっかい)終(お)わるごとに車掌(しゃしょう)役(やく)を交代(こうたい)し、車掌(しゃしょう)になった子(こ)どもは自己紹介(じこしょうかい)をする。
  ③ 駅(えき)に名前(なまえ)をつける
   子(こ)どもたちが自由(じゆう)に駅(えき)の名前(なまえ)を考(かんが)えたり、絵(え)を描(か)いたりしながら、電車(でんしゃ)ごっこを広(ひろ)げる。
  ④ ふりかえり・共有(きょうゆう)
   最初(さいしょ)に読(よ)んだ絵本(えほん)をもう一度(いちど)読(よ)み聞(き)かせ、②〜③で感(かん)じた楽(たの)しかった気持(きも)ちをみんなで共有(きょうゆう)する。
※このほか、年齢(ねんれい)の異(こと)なる子(こ)ども(2歳児(さいじ)、4〜5歳児(さいじ)、小学生(しょうがくせい)、全年齢(ぜんねんれい))を対象(たいしょう)にした実践(じっせん)のバリエーションの例(れい)も記載(きさい)しています。 詳(くわ)しいプランはこちら(■教案(きょうあん)) PDF をご覧ください。

子(こ)どもたちの学(まな)びの記録(きろく)の残(のこ)し方(かた)

保育(ほいく)ドキュメンテーションの導入(どうにゅう)

+

保育(ほいく)ドキュメンテーションとは、子(こ)どもたちの感動(かんどう)や発見(はっけん)、気持(きも)ちの動(うご)きを、写真(しゃしん)や会話(かいわ)、つぶやきなどを通(とお)して記録(きろく)し、目(め)に見(み)える形(かたち)にしたものです。楽(たの)しい体験(たいけん)とことばが結(むす)びついた記録(きろく)からは、日本語(にほんご)の力(ちから)もそれ以外(いがい)の成長(せいちょう)も感(かん)じ取(と)ることができます。子(こ)どもたちにとって、幼稚園(ようちえん)と家庭(かてい)はひとつづきの学(まな)びの場(ば)です。子(こ)どもたちの頭(あたま)の中(なか)では「日本語(にほんご)で聞(き)いたこと」「生活(せいかつ)言語(げんご)で考(かんが)えたこと」「家(いえ)でしたこと」「友(とも)だちと遊(あそ)んだこと」といった区別(くべつ)はなく、すべての世界(せかい)がつながっています。そこで、私(わたし)たちは、子(こ)どもたちが幼稚園(ようちえん)で生(い)きている世界(せかい)を家庭(かてい)と共有(きょうゆう)するために、保育(ほいく)ドキュメンテーションを作成(さくせい)しています。この実践(じっせん)では「必(かなら)ず〜してほしい」といった宿題(しゅくだい)は出(だ)していません。ドキュメンテーションという形(かたち)で子(こ)どもの育(そだ)ちを伝(つた)えながら、それぞれの家庭(かてい)で、その子(こ)に合(あ)った関(かか)わり方(かた)を見(み)つけてもらいたいと考(かんが)えています。 もう少(すこ)し詳(くわ)しい情報(じょうほう)を ■保育(ほいく)ドキュメンテーション例(れい)PDF に記(しる)していますので、ご参考(さんこう)ください。

こんな子(こ)どもの姿(すがた)が見(み)られました!

子(こ)どもたちからは、次(つぎ)のような声(こえ)や姿(すがた)が見(み)られました。

Read more(続(つづ)きを読(よ)む)…

● 電車(でんしゃ)ごっこの中(なか)で、まわりの友(とも)だちのことを考(かんが)えたり、自分(じぶん)の行動(こうどう)を調整(ちょうせい)したりする姿(すがた)

  • 「(Tくんが車掌(しゃしょう)さんだって先生(せんせい)が言(い)っていたけど)ぼくが一番(いちばん)に歩(ある)きたい」
  • 「(大好(だいす)きな電車(でんしゃ)みたいに)速(はや)く走(はし)りたいけど、お友(とも)だちに『ダメだよ』って言(い)われた」

● 教室(きょうしつ)で歌(うた)った「線路(せんろ)は続(つづ)くよどこまでも」を、それぞれのかたちで楽(たの)しむ姿(すがた)

  • 「(自分(じぶん)では歌(うた)えないけれど先生(せんせい)が)歌(うた)ってくれてうれしい」
  • 「(日本語(にほんご)の歌(うた)って)楽(たの)しい。お家(うち)で聞(き)けるかな?先生(せんせい)、お歌(うた)の名前(なまえ)をメールしといてね」

● 活動(かつどう)への興味(きょうみ)・関心(かんしん)が高(たか)まり、日本語(にほんご)を使(つか)ってみたことで自信(じしん)が育(そだ)っている姿(すがた)

  • 「大(おお)きな声(こえ)で自己紹介(じこしょうかい)をするのは恥(は)ずかしいけど、車掌(しゃしょう)さんになって帽子(ぼうし)をかぶってみたい」
  • 「(駅(えき)に描(えが)いてある絵(え)を見(み)てネコだとわかった。)大(おお)きな声(こえ)で言(い)ってみたら、先生(せんせい)が『ねこ』って書(か)いてくれた(ぼくってすごい !)」

● 自由(じゆう)遊(あそ)びの時間(じかん)に見(み)られた姿(すがた)

  • 実践(じっせん)後(ご)の自由(じゆう)遊(あそ)びの時間(じかん)にも、園内(えんない)にあるさまざまなおもちゃ(サッカー用(よう)のミニゴールや縄跳(なわと)びを持(も)ったり、かごを頭(あたま)にかぶったり)を使(つか)いながら、「デンシャ、デンシャ」「ポッポー」と声(こえ)に出(だ)し、一列(いちれつ)になって歩(ある)く姿(すがた)が見(み)られました。先頭(せんとう)を交代(こうたい)しながら、電車(でんしゃ)ごっこ遊(あそ)びを楽(たの)しんでいました。




実践(じっせん)者(しゃ)からひとこと

この実践(じっせん)を行(おこな)った際(さい)、保護者(ほごしゃ)の方(かた)から、「家(いえ)の中(なか)を走(はし)り回(まわ)っているから注意(ちゅうい)しようと思(おも)ったのですが、幼稚園(ようちえん)で電車(でんしゃ)ごっこをしていることを思(おも)い出(だ)し、公園(こうえん)に移動(いどう)して一緒(いっしょ)に電車(でんしゃ)遊(あそ)びをしました」という声(こえ)をいただきました。その方(かた)は、子(こ)どもの行動(こうどう)だけを見(み)るのではなく、その背景(はいけい)にある心(こころ)の動(うご)きに目(め)を向(む)け、幼稚園(ようちえん)で友(とも)だちと楽(たの)しんだ電車(でんしゃ)遊(あそ)びの感動(かんどう)を、子(こ)どもなりに家庭(かてい)で再現(さいげん)しようとしていたのだと受(う)け止(と)めてくださったのだと思(おも)います。

子(こ)どもたちは、私(わたし)たち大人(おとな)には計(はか)りきれないほど豊(ゆた)かな世界(せかい)を生(い)きています。そして、その世界(せかい)は幼稚園(ようちえん)だけで完結(かんけつ)するものではなく、家庭(かてい)ともひとつづきにつながっています。保護者(ほごしゃ)の方(かた)に子(こ)どもの心(こころ)の動(うご)きを伝(つた)えることで、園(えん)と家庭(かてい)のあいだに連携(れんけい)や協働(きょうどう)の関係(かんけい)が生(う)まれます。子(こ)どもへの理解(りかい)が少(すこ)しずつ広(ひろ)がり、深(ふか)まり、一人(ひとり)ひとりとどのように向(む)き合(あ)っていくのかが見(み)えてくる――この実践(じっせん)を通(とお)して、改(あらた)めてその大切(たいせつ)さを感(かん)じています。


この実践(じっせん)が生(う)まれた背景(はいけい)

子(こ)どもたちとつくる活動(かつどう)に至(いた)るまで

9年(ねん)前(まえ)、インターナショナル幼稚園(ようちえん)で「日本語(にほんご)のじかん」を持(も)ち始(はじ)めた当初(とうしょ)、私(わたし)は日本(にほん)の文化(ぶんか)や読(よ)み書(か)きを教(おし)えることが一番(いちばん)大切(たいせつ)だと思(おも)っていました。今(いま)振(ふ)り返(かえ)ると、日本語(にほんご)を母語(ぼご)とする自分(じぶん)が学(まな)んできたのと同(おな)じように学(まな)べば、子(こ)どもたちも日本語(にほんご)が上手(じょうず)になるに違(ちが)いないという思(おも)い込(こ)みがあったのだと思(おも)います。また、幼児期(ようじき)にひらがなや日本(にほん)のルールをしっかり教(おし)えておけば、小学校(しょうがっこう)に行(い)ってから楽(らく)になるのではないか、と考(かんが)えていた部分(ぶぶん)もありました。しかし、活動(かつどう)に楽(たの)しそうに参加(さんか)する子(こ)どもがいる一方(いっぽう)で、退屈(たいくつ)そうに受動(じゅどう)的(てき)に過(す)ごす子(こ)どもの姿(すがた)にも気(き)づくようになりました。そこで、子(こ)どもたちが受(う)け身(み)になってしまう一元(いちげん)的(てき)な活動(かつどう)を、すべてやめる決断(けつだん)をしました。

同(おな)じような思(おも)いをクラス担任(たんにん)も抱(いだ)いていたことから、園(えん)全体(ぜんたい)で話(はな)し合(あ)いを重(かさ)ね、3年(ねん)ほどかけて段階的(だんかいてき)に年間(ねんかん)カリキュラムを廃止(はいし)しました。現在(げんざい)は、子(こ)どもたちの興味(きょうみ)・関心(かんしん)や発達(はったつ)段階(だんかい)に合(あ)わせて、絵本(えほん)や童謡(どうよう)、季節(きせつ)や行事(ぎょうじ)などを手(て)がかりに、話題(わだい)別(べつ)の活動(かつどう)を行(おこな)いながら語彙(ごい)や知識(ちしき)を広(ひろ)げています。日本語(にほんご)を母語(ぼご)とする子(こ)ども、日本(にほん)につながる子(こ)ども(継承(けいしょう)語(ご))、日本語(にほんご)を外国語(がいこくご)として学(まな)ぶ子(こ)どもが、同(おな)じ場(ば)で一緒(いっしょ)に活動(かつどう)しています。日本語(にほんご)がどの程度(ていど)話(はな)せるかよりも、日本語(にほんご)を媒介(ばいかい)としてさまざまな体験(たいけん)をし、その中(なか)で一人(ひとり)ひとりが成長(せいちょう)していく姿(すがた)を見(み)つめることを大切(たいせつ)にしています。

また、開園(かいえん)から、「幼稚園(ようちえん)と家庭(かてい)はチーム」と信(しん)じ、家庭(かてい)との対話(たいわ)を大切(たいせつ)にしてきました。毎日(まいにち)、すべてのご家庭(かてい)と十分(じゅうぶん)に話(はな)すことは難(むずか)しい中(なか)でも、子(こ)どもたちの育(そだ)ちを見(み)つめる中(なか)で感(かん)じた感動(かんどう)を、できるだけ多(おお)くの保護者(ほごしゃ)の方(かた)と共有(きょうゆう)したいという思(おも)いから、週(しゅう)便(たよ)りの作成(さくせい)を始(はじ)めました。保育者(ほいくしゃ)(教師(きょうし))が審判(しんぱん)のように「〜ができた」「〜がよかった」と評価(ひょうか)するのではなく、子(こ)どもたちのありのままの姿(すがた)を「なんてすてき!」と受(う)け止(と)めてほしい。また、自分(じぶん)の子(こ)どもだけでなく、周(まわ)りの友(とも)だちの魅力(みりょく)にも目(め)を向(む)けてほしい。そうした思(おも)いを形(かたち)にする方法(ほうほう)として、保育(ほいく)ドキュメンテーションにたどり着(つ)きました。活動中(かつどうちゅう)に撮影(さつえい)した写真(しゃしん)に、子(こ)どもたちの会話(かいわ)やつぶやき、行動(こうどう)の様子(ようす)を添(そ)えたシンプルなものですが、家庭(かてい)で幼稚園(ようちえん)での活動(かつどう)について話(はな)す機会(きかい)が増(ふ)えたり、活動(かつどう)について考(かんが)えてきてくれる姿(すがた)が見(み)られたりと、大(おお)きな手応(てごた)えを感(かん)じています。

作成者(さくせいしゃ)

平野(ひらの)梓(あずさ)
Kinder Internacional My Little Sunshine 園長(えんちょう)
役に立った! 5人が「役に立った!」をクリックしました。